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受けよう「がん検診」検診・健診で見つかるおなかの病気のはなし

各種がん検診について

大腸がんの検査

大腸がんの検査は便潜血検査です。採便棒という棒を使用して2日間に分けて出た便を拭っていただきます。この便を検査していくのですが、当院で2020年に大腸がん検診を受診された方が1,577人いました。そのうち便潜血陽性になった方が343人でした。そして二次検査に大腸内視鏡検査になるのですが、大腸カメラを受けて頂き、その中から3人の方から大腸がんが見つかりました。発見率は0.19%と疫学調査(0.17%)と比較してもあまり差異がないため、大腸がん検査を受けられた方はある程度の確率で大腸がんが見つかるということになります。

大腸内視鏡検査について

大腸は上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸と5つのパートに分かれています。

写真の方は上行結腸にポリープが見つかった方です。このポリープは2cmくらいあるのですが、内視鏡でポリープを切除しました。胃カメラの時と同じように内視鏡的粘膜剥離術(ESD)でポリープを切除します。(写真4参照)ポリープを切除してしまっただけでがんが治ってしまったケースがありますので、便潜血検査で早い段階で対応することが治療に大きく影響します。

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写真4 大腸のポリープ
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資料9 内視鏡的大腸ポリープ切除術

肝臓機能検査

茅ヶ崎市の特定健診には必須項目というものがありまして、基本的な問診、身体診察、身長体重、腹囲計測などがあり、血液検査でコレステロールや血糖値、尿酸、クレアチニンなどを測定します。ここで肝機能検査(AST、ALT、γ-GTP)も測定し、その値が異常値だった場合、当院消化器内科にご連絡いただくことになっています。この肝機能検査で引っ掛かるとどのような病気の疑いがあるのかといいますと、ウイルス性肝炎、アルコール肝、脂肪肝、自己免疫病や糖尿病など、また銅ウィルソン病などの代謝異常や薬物性、特殊な感染症などで異常値が出ることがありますので、この異常値から私共専門家はどのような病気なのかを診断します。

ウイルス性肝炎

ウイルス性肝炎はB型肝炎とC型肝炎に分けられます。B型肝炎とC型肝炎は血液検査をしますとB型肝炎ならHBs抗体、C型肝炎ならHCV抗体というものが陽性になるので、検査を実施するとすぐにわかります。

B型肝炎は慢性肝炎から肝硬変、そして肝臓がんになる可能性かあり、C型肝炎は慢性肝炎になり、自覚症状がほとんどなく、知らないうちに肝硬変や肝細胞がんになる可能性がありますので、肝機能障害があった場合はまずウイルス性肝炎がないかどうかチェックします。

NASH

しかし最近はアルコールの多飲がないのにもかかわらずアルコール性肝障害によく似た肝組織像を示す病気があります。これをNASH(ナッシュ)といいます。日本語で非アルコール性脂肪肝炎といいますが、このNASHは脂肪肝の約1~2割ほどの割合で潜んでいます。知らないうちに肝硬変や肝がんになってしまう恐ろしい病気です。

私どもは肝硬度という肝臓の固さや脂肪量を測るフィブロスキャンを使ってNASHを探しています。

自己免疫性肝疾患と原発性胆汁性胆管炎

自己免疫性肝疾患は免疫異常により自分の肝細胞を破壊してしまう病気で、原発性胆汁性胆管炎は自己免疫性肝疾患と同じように胆管を破壊する病気で徐々に肝不全に進むことがあります。いずれも血液検査で分かりますので、一度肝機能異常とご指摘された方は血液検査を受けて頂いて専門科の受診をおすすめします。

超音波検査(エコー)で見つかる病気

よく人間ドックなどいろいろな機会にエコー検査を受けられると思います。この検査でどんな病気が見つかるかというと資料10の通りになります。

脂肪肝は約30%、肝のう胞は良性のもので病的なものではないのですが中には肝臓に水のたまった袋みたいなものが大小出てきますので、大きいものを穿刺といって、水を抜いて小さくすする必要があります。大きいのう胞が見つかった場合は主治医の先生にご相談ください。

あと低いですが肝硬変や肝がんがエコー検査で見つかることがあります。

胆のうでよくあるのがポリープです。1cmを超えるポリープは胆のうがんとの鑑別が必要なため用心が必要ですが、1cm未満のものに関しては毎年大きさをチェックすることで大丈夫ではありますが必ず専門医の方にご相談いただけたらと思います。

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資料10 エコーで見つかる病気

最後に

がんは身近な病気ですが、早期発見・早期治療することで予後を良くすることができます。特に胃がんや大腸がんはその典型です。また、市や町の検診は病気を早く発見することができますので、ぜひ毎年お受けになっていただけたらと思います。

最後に病気が見つかってもあわてないでください。専門医から具体的にアドバイスをさせて頂きます。詳しく病気のことを知っていただければそこまで怖くありません。見つかった場合は速やかに専門の先生を受診し、お話しいただけたらと思います。