診療科・部門

脳神経外科(脳卒中センター)

診療理念

十分なインフォームドコンセントを通して患者様と共に疾病に立ち向かっていくことを医療の基本理念としています。また、信頼される質の高い医療、専門性の高い医療の提供を心がけています。

診療内容・特色

当科は多くの脳疾患に対して内科、外科治療(開頭手術、カテーテル手術、神経内視鏡手術)、放射線治療を行っています。患者様とその病態に最適で非侵襲的かつ根治的な治療が選択出来るように、数々の専門医を配置し、また病院間で連携を図っています。入院中は院内のリハビリテーション科と機能を改善し、必要あれば医療相談員など退院支援の職員を介入させ、患者様の病態やその家族に寄り添った環境を整えます。退院後は、基本的には自宅近くの医療機関に定期的な継続加療をお願いし、「2人主治医」の体制で患者様をサポートします。

また2019年に日本脳卒中学会より一次脳卒中センターとして認定され、24時間365日脳卒中を受け入れる体制を整えています。具体的には、脳卒中患者の迅速な受け入れを可能とする脳卒中ホットラインを地域の救急隊と結び、受け入れ後は高度な医療が幅広く迅速に提供できるようにカテーテル治療の専門医を複数配置しています。その結果、脳卒中患者の救急受け入れ件数と脳梗塞に対する血栓回収術(カテーテル手術)の件数は、茅ケ崎、藤沢、平塚の湘南地区でトップクラスです。

診断装置

  • CT (16列CT、128列CT)
  • MRI (1.5T, 3.0T)
  • DSA (ARTIS icono D-Spin)
  • SPECT

診療実績

入院患者数
年度 2021 年度 2022 年度 2023 年度
脳神経外科入院数 450 531 736
手術件数
  術式 2021 年度 2022 年度 2023 年度
開頭術/直達術 開頭脳腫瘍摘出術 6 11 10
広範囲頭蓋底脳腫瘍摘出術 0 0 1
内視鏡脳腫瘍摘出術 1 1 0
脳腫瘍生検術 0 0 1
脳動脈瘤クリッピング術(破裂) 11 10 10
脳動脈瘤クリッピング術(未破裂) 3 2 3
脳動静脈奇形摘出術 0 0 1
開頭脳出血除去術 13 11 16
内視鏡脳出血除去術 0 0 0
脳血管バイパス術 5 2 6
内頚動脈内膜剥離術 3 3 3
急性硬膜下血種除去術 4 6 3
急性硬膜外血種除去術 0 1 1
慢性硬膜下血腫穿頭術 28 26 52
神経血管減圧術 1 3 3
ITB 関連手術 2 4 3
水頭症シャント術 6 7 10
その他 23 7 28
開頭術/直達術合計  (A) 106 94 151
血管内手術 脳動脈瘤塞栓術(破裂) 3 11 15
脳動脈瘤塞栓術(未破裂) 3 9 4
脳動静脈奇形塞栓術 0 0 2
硬膜動静脈瘻塞栓術 1 0 3
頚動脈ステント留置術 6 31 24
血栓回収術 32 52 66
血管形成術 2 4 12
慢性硬膜下血種塞栓術 0 8 15
脳腫瘍血管塞栓術 1 3 2
その他の血管内手術 0 1 0
血管内手術合計  (B) 48 119 143
総手術数  (A+B) 154 213 294
rtPA 療法 21 40 59

教育

医師教育

当科は日本脳神経外科学会、日本脳卒中学会、日本脳卒中の外科学会、日本神経内視鏡学会の研修教育施設として基準を満たし、国際医療福祉大学成田病院を基幹施設とする日本脳神経外科学会認定の専門医研修プログラムの連携施設として指定されています。

取得可能な専門医は、脳神経外科専門医、脳卒中学会専門医、脳卒中の外科学会技術認定医、脳神経血管内治療学会専門医、脳血栓回収療法実施医、神経内視鏡学会技術認定医です。当院での研修で要件が充足しない場合は、連携している大学病院の教育プログラムで対応可能です。

また学会参加を積極的に行い、個々の技術と知識向上に努めています。

院内チーム医療教育

脳神経外科で最も多く診療する脳卒中は、医師のみではなく看護師、放射線技師、リハビリテーション技師、薬剤師、栄養士、医療相談員など多職種で対応する必要があります。したがって院内で定期的な検討会や勉強会を開催し、チーム力の向上を図っています。

特に脳梗塞の発症初期は迅速な対応が必要で、院内でISLSコースを定期開催しています。

  • ISLSコースは、日本神経救急学会と日本救急医学会と日本臨床救急学会が合同で開発した脳卒中初期診療のトレーニングコースです。
ISLSコースの実際[写真]
ISLSコースの実際

地域救急隊と検討会

湘南地区を中心とした救急隊と定期的に検討会を開催し、茅ケ崎市と寒川町における脳卒中を中心とした脳神経外科救急疾患の地域医療の体制構築を行っています。

地域救急隊との検討会の実際[写真]
地域救急隊との検討会の実際

常勤医募集

当科は、茅ケ崎市と寒川町を中心とした湘南地区に高度な医療を提供することを目指しています。そこで地域医療・急性期治療に興味を持ち、協調性のある脳神経外科医・脳神経内科医・救急医・後期研修医を募集しています。学閥や経験は全く問いませんので、興味のある方はtobu-ikyoku@fureai-g.or.jpまでご連絡ください。随時、見学にも対応します。一緒に急性期脳神経疾患に対応できる地域密着型の施設で働きましょう!

担当医師紹介

勝野亮[写真]
勝野 亮かつの まこと

脳神経外科部長

脳卒中センター センター長

専門分野

頭蓋底手技やバイパス術を用いた脳血管障害と脳腫瘍に対する外科治療

資格
  • 医学博士
  • 日本脳神経外科学会専門医・指導医
  • 日本脳卒中学会脳卒中専門医・指導医
  • 日本脳卒中の外科学会技術指導医
  • 日本神経内視鏡学会技術認定医
  • 日本脳神経血管内治療学会専門医
  • 臨床研修指導医
  • 日本医科大学武蔵小杉病院非常勤講師
医師コメント

2019年4月より湘南東部総合病院脳神経外科で勤務させて頂いています。今後は修得してきた手術 技術を生かし、脳卒中と脳腫瘍を中心に地域医療を支えるように努力します。

近藤智正[写真]
近藤 智正こんどう ともまさ

医員

専門分野
  • 脳神経外科疾患に対する外科・カテーテル治療
資格
  • 日本脳神経外科専門医・指導医
  • 日本脳卒中の外科学会技術認定医
  • 日本脳神経血管内治療学会専門医
医師コメント

白井麻純[写真]
白井 麻純しらい ますみ
専門分野

脳神経外科一般

医師コメント

寺本明[写真]
寺本 明てらもと あきら

非常勤

専門分野
  • 脳腫瘍
  • 特に脳下垂体疾患
資格
  • 医学博士
  • 日本脳神経外科学会専門医
  • 社会医学系指導医
  • 湘南医療大学副学長
  • 東京労災病院名誉院長
  • 日本医科大学名誉教授
医師コメント

脳下垂体疾患に対する第一人者で、経験症例は全国1位、世界で歴代5位の実績を誇る。日本医科大学脳神経外科主任教授、東京労災病院長を経て、現在は湘南医療大学副学長として、医学界・医療行政の発展に取り組んでいます。

井上 晶博いのうえ あきひろ
専門分野
  • 脳神経外科一般

研究実績

学会発表(2023年~)

勝野亮 白井麻純 指田涼平 近藤智正
血管内治療時代における破裂内頚動脈瘤に対するTrap & High flow bypass
第83回日本脳神経外科学会総会 2024.10 横浜
指田涼平 近藤智正 勝野亮 松野彰
クラゾセンタン投与中に硬膜下血腫が増大した破裂内頚動脈瘤の1例
第154回日本脳神経外科学会関東支部学術集会 2024.9 東京
勝野亮 指田涼平 近藤智正 木下由宇
脳底動脈閉塞症に対する経皮的血栓回収術の自験例検討
第49回日本脳卒中学会総会 2024.3 横浜
勝野亮 指田涼平 近藤智正 木下由宇
血管内治療時代に求められる破裂Fetal P-com動脈瘤の開頭直達術
第53回日本脳卒中の外科学会 2024.3 横浜
勝野亮 指田涼平 近藤智正 木下由宇
脳底動脈閉塞症に対する経皮的血栓回収術の自験例検討
第39回日本脳神経血管内治療学会学術集会 2023.11 京都
勝野亮 木下由宇 高屋善徳
ステント留置術後に遅発性過灌流症候群を呈した慢性内頚動脈閉塞症の1例
第48回日本脳卒中学会総会 2023.3 横浜
勝野亮 木下由宇 高屋善徳
脳動脈瘤のコイル塞栓術後に造影剤脳症を呈した2例
第52回日本脳卒中の外科学会 2023.3 横浜
勝野亮 木下由宇 高屋善徳
ADAPT firstでのFutile Recanalizationの検討
第48回日本脳卒中学会総会 2023.3 横浜
勝野亮 木下由宇 高屋善徳
脳神経温存を主眼とした硬膜外前床突起削除法
第52回日本脳卒中の外科学会 2023.3 横浜
勝野亮
脳をいつまでも若く
第46回日本脳神経財団 市民講演会 2023.3 茅ヶ崎
木下由宇
上山式脳神経外科手術と切らずに治す脳血管内治療
第46回日本脳神経財団 市民講演会 2023.3 茅ヶ崎
勝野亮 木下由宇 高屋善徳
慢性硬膜下血腫に対するDistal radial approachでの中硬膜動脈塞栓術
第46回日本脳神経外傷学会 2023.2 岡山

論文発表(2018年~)

Katsuno M, Tanikawa R.
Zygomatic anterior temporal approach for high-position upper basilar aneurysm.
Neurol Med Chir. 2019 Nov 59:430-435.
Katsuno M, Matsuno A.
Aneurysm trapping by both direct and endovascular surgery for vertebral artery dissection: A case report.
Surg Neurol Int. 2018 Jan 16;9:10.
Katsuno M, Ishisaka E, Toyota K, Kawasaki K, Inaba I.
Emergency Superficial Temporal Artery-Superior Cerebellar Artery Bypass for the Refractory Vertebrobasilar Insufficiency with Partial Mastoidectomy.
World Neurosurg. 2018 Oct;118:75-80.
勝野亮 山田敏雅 川崎和凡 稲葉泉
椎骨動脈瘤に対する顆窩経由法における開閉頭時の留意点
脳卒中の外科 2020,48(1) 30-35
勝野亮 川崎和凡 野村竜太郎 青木伸夫
後大脳動脈瘤(P2A segment)に対するAnterior temporal approachの問題点
Neurosurg Emerg 2019, 24:138-143
勝野亮 石坂栄太郎 木下由宇 福田信 杉村敏秀 川崎和凡 稲葉泉
脳動脈瘤手術における硬膜外前床突起除去の手技標準化の試み
脳卒中の外科 2019,47(1) 17-22

お願い

当院で脳神経外科治療を受けた患者様へのお願い

現在、当院では、「日本脳神経外科学会データベース研究事業(Japan Neurosurgical Database:JND)」に協力しています。2018年1月から当院脳神経外科に入院された患者様の臨床データを解析させて頂き、脳神経外科医療の質の評価に役立てることを目的としています。解析にあたって提供するデータは、提供前に個人を特定できない形に加工した上で提供しますので、患者様の個人のプライバシーは完全に保護されます。本研究の解析に自分のデータを使用されることを拒否される方、個人情報に関する照会や疑問等がありましたら当院事務までお問い合わせ願います。その他研究事業についての資料の閲覧を希望される方は、研究班ホームページ(http://jns.umin.ac.jp)をご参照下さい。

オプトアウトについて

臨床研究を行う場合は、文書もしくは口頭で説明を行い、同意を得る必要があります。しかし当院では臨床研究のなかで、診療情報等の情報だけを用いた研究は、その目的の情報を公開し、更に拒否の機会を保障することで、患者様から同意を得る必要はないとされるオプトアウトという方法をとっています。研究への協力を希望されない場合は、当院事務までお知らせ下さい。

関連ページ

  • 外来はクリニックで行っております