当院における大腸癌治療について
治療紹介
他の病院で大腸癌と診断された方や、心配がある方はいつでも当院の予約番号からお電話をいただき(0467-83-9192)、中山医師の外来予約をお取りください。最短で1週間以内の予約が可能です。外来予約は、水曜日午前、金曜日午前、土曜日午前で可能です。紹介状などがあると助かりますが、なくても受診いただけます。予約時の電話で「外科の中山医師を希望」とご指定ください。
他の病院で治療中の方も、どうぞご予約ください。セカンドオピニオン(他の病院で診断がついたあと、あるいは治療中に方針について相談すること)もいつでも受け付けておりますので、その旨を予約時の電話でお伝えください。
大腸癌の治療方法は、
- 手術
- 抗がん剤
- 放射線療法
があります。どれが最適か、ご相談をしつつ決めていくこともありますが、原則としては「大腸癌のできた場所やどれくらい進んでいるか(=進行度・ステージ)」によって決まります。
初回の外来を受診される流れをご紹介いたします。
ご予約いただいた日時に、外来に来ていただきます。
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担当医師からのご挨拶と、病気の説明をしたのち、現在のご病状についてお伺いします。当日にできる検査(採血、レントゲン、心電図、呼吸機能検査、空きがあれば造影CT検査、超音波検査も可能)を受けていただきます。
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- 手術が必要な患者様であればこの日中に手術日を決定いたします(ご都合がわからない方は後日でも構いません。)
手術は、原則としてこの日から4週間以内に行うことが可能です。病状によっては2週間以内とすることもございます。 - 抗がん剤を先行したほうが良いと考えられる患者様については、1週間以内の治療開始が可能です。
- 放射線療法を行う場合でも、1週間以内の治療開始が可能です(担当は当院副院長・放射線治療専門医の星川嘉一医師です)。
手術について
当院ではダヴィンチというロボットを用いたロボット支援下手術を行なっています。執刀する中山医師は指導者資格を持つロボット手術の専門家であり、これまでダヴィンチに関する医師向け教科書を2冊執筆しています。
大腸がん手術に関するQ&A
- 入院はいつするの?
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手術の二日前です。重度の糖尿病や他に持病がある人は、数日早くなることもあります。
- 入院してからのスケジュールは?
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二日前に入院し、下剤や抗生物質を飲みます。前日にシャワーを浴びていただき、また下剤や抗生物質を飲みます。
手術日当日の朝は浣腸をして便を出し、9:00前に手術室へと向かいます。
- 手術は痛くないの?
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全身麻酔ですので、手術中は痛みを感じません。手術後目が覚めてからも、麻酔の医師が痛み止めを使いますので「目が覚めた途端激痛が!」という方はまずおられません。
また、ロボット手術はキズがかなり小さいため、痛みはそれほど強くありません。ほぼ全員が翌日には立ち上がれるようになります。
- 手術は何時間かかる?
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当院の成績として、9割の方が約2時間で終わります。太った方や過去にお腹の手術を受けたことのある方は、もう少しかかることもあります。4時間以上かかることはほとんどありません。
- 家族はずっと待っているの?
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ご家族は、院内で待っていていただく必要はありません。手術が終わるちょっと前に病院からお電話しますので、来院いただいたあと、執刀医から手術の説明を受けていただきます。手術で取れた腸をお見せしますので、写真を撮ることも可能です(血が苦手な方は見なくてもOKです)。
なお、ご家族の来院なしで、お電話のみでのご説明も可能です。
- 手術後はどうなるの?
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手術後、当日はベッドでゆっくり休んでいただきます。手足など動かすことができます。
翌日、理学療法士とともにベッドから離れるリハビリを始め、水を飲んでいただきます。多くの患者さんが翌日に歩行を開始できます。
- そのあと、いつからご飯食べられるの?
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歩いてお手洗いに行けるようになれば、尿の管を抜きます。
食事を開始するのはだいたい手術から3、4日目になります。最初はお粥から始まりますが、すぐに普通の食事になります。
- いつ退院できるの?
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最短で手術から5日程度で退院可能です。過去に、お仕事の都合で手術から4日で退院した方もおられました。当院でロボット手術を受けた患者さんは、平均すると手術から7日くらいです。つまり入院期間は約10日です。
- そんなに早く退院するのは家族として不安です!
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もちろん、ご高齢の方やキズの痛みが強い方、退院後の生活にご不安のある方は、きちんとお元気になり、不安がなくなってからの退院になります。病院の都合で「早く退院してください!」など無理に急かすことはありません。
- 退院後の生活が心配です。
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当院では、退院する前に栄養士さん(または看護師さん)から食事の内容についてご案内をしております。原則としては、「退院後一ヶ月くらいはやさしいものを中心に食べましょう」とお伝えしています。
- いつから車の運転ができますか?
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退院の日に車の運転をして帰る方もおられます。キズが痛まなければ、すぐに運転をすることは可能です。もし食事が取れなかったり、下痢がひどい状況であれば運転は避けた方が良いでしょう。
- いつから仕事復帰ができますか?
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一律のお答えをするのは難しいのですが、おおむね「退院してから一ヶ月仕事をお休みするのが理想です」とお伝えしています。
患者さんのご年齢や手術後のお通じの乱れ具合、そして仕事内容によって変わります。- (例1)もともと体力のある50歳台の患者さんで手術後にお通じがあまり乱れず、いつでもお手洗いにいけるデスクワークのお仕事をしている方であれば、退院後すぐにでも仕事復帰が可能です。
- (例2)あまり体力に自信のない63歳の患者さんで、直腸がんの手術を受けてお通じが1日4回程度と忙しくなってしまった方が、長距離ドライバーさんのようにお手洗いにいつでもいける環境でない場合、3・4週間はお休みした方が無難です。
お通じの乱れ具合は、結腸がんか・直腸がんかによって異なり、直腸がんの手術後のほうが乱れやすくなります。患者さんによっては、結腸癌でもかなり下痢気味になってしまう方もいます。この予想をすることは難しく、手術後になってみないとわかりません。
9割方の患者さんは、手術から3ヶ月が経つと「ほぼ手術前と同じ」「生活に支障がない」ようなお通じの具合(排便の回数や下痢・便秘など)になります。
- いつからお酒が飲めますか?
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最新の医学研究結果で、「健康のためにはお酒は飲まないにこしたことはない」ことが明らかになっています。酒は百薬の長というのは間違いである、ということです。とはいえちょっとくらい……と思う方も多いはず。大腸がんの手術後にいつお酒を飲んでよいか?というご質問の答えはとても難しいのです。
お酒は下痢ぎみになることが多いので、それさえ気をつければ「いつから飲んでも結構ですが、飲むことをおすすめするわけではありません。最初は少量からにしてじょじょに慣らしてください、退院祝いでたくさん飲んでひっくり返りませんように」とお答えしています。
- タバコはどうですか?
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タバコは、あまりに体に悪いため手術を受ける患者さん全員に手術前の禁煙をお願いしています。タバコを吸っている方はがんにかかる危険が跳ね上がるのみならず、手術のキズがつかなかったり手術後に肺炎を起こしたり、腸と腸のつながりが悪かったりと手術関連の合併症も増えます。ですので、手術が終わってからもタバコとは縁を切るようにしましょう。なかなか辞められないという方は、当院の禁煙外来をご紹介します。禁煙外来を使って禁煙チャレンジをすると成功率がずっと高いことがわかっています。
それでも辞められないという方は、怒るようなことはしませんので、お体の把握をするためにどうぞ秘密になさらず担当医に教えてください。
- 運動はいつからできますか?
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退院後にキズが開くことはまずありませんが、キズが痛くならない程度で退院後に最初はウォーキングのような軽い運動から始めましょう。痛みがなければランニングやその他のスポーツなどで、じょじょに負荷を増やすようにしてください。腹筋を鍛えたり、10kg以上の重いものを持ち上げるような運動は1ヶ月ほど避けたほうが良いです。
- 性交渉については?
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なかなか聞きづらい内容ですが、とても大切なお話です。個人差が大きいところでもあります。
結腸がんの手術後であれば、運動と同じ考え方でけっこうです。手術後一ヶ月程度は、あまり無理な体勢はお控えください。
直腸がんの手術後は、性別によって異なります。- (男性)手術内容によっては、勃起や射精がうまくいかないこと(性機能障害と呼びます)があります。主治医にご相談ください。勃起不全に対しては、保険適応外ですが勃起不全改善薬(バイアグラなど)が有効なことがあります。そちらも主治医にご相談ください。
- (女性)直腸がんの中でも特に肛門から5cm以内にがんがあり、その手術を受けた女性患者さんでは、手術時に膣の後ろの壁をいじるため、手術後の性交痛が出ることがあります。市販の潤滑ゼリーを使ったり、体勢を工夫することで改善することがあります。パートナーと相談し、主治医や女性看護師にもご相談ください。
- 医師以外にどんな人が関わるの?
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大腸癌治療チームとして、外科医師4名、外来看護師、病棟看護師、病棟薬剤師が主に関わります。退院後のお食事や栄養のご相談は管理栄養士が、身体のリハビリについては理学療法士・作業療法士が、嚥下(飲み込み)については言語聴覚士が担当します。
すべての情報は電子カルテで一元的に集められ、あらゆる側面から患者さんの回復を手助けします。
- 手術のお金はいくらくらいかかるのですか?
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大腸がんの手術を行う入院費用は患者様の所得などにより変化しますので、以下の想定の場合の金額をお伝えします。(あくまでも概算です)実際の支払金額に関しましては、医事課スタッフまでお問い合わせください。
- ケースA(68歳の年収500万、会社員、10日間入院の場合)
- 治療費(91,924円) + 食事代 + 個室代など = 177,494円
- ケースB(52歳の年収900万、自営業、15日間入院の場合)
- 治療費(175,670円) + 食事代 + 個室代など = 335,470円
- ケースC(80歳の住民税非課税世帯、自営業、19日間入院の場合)
- 治療費(15,000円) + 食事代 + 個室代など = 35,160円
- 保険に加入しているのですが、どうすれば良いですか?
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はい、まずは保険会社に電話などで「大腸がんにかかったので入院し手術を受ける」と連絡をしてください。すると保険会社から指定の書類が届きますので、それを病院に持参していただき、病院一階エントランスの「受付」にご提出ください。担当医師の元へと届き、必要事項を記載したのちにお手元に届きます。
この書類には「病理診断結果」と呼ばれる、手術後一ヶ月程度しなければわからない項目が必須のことが多いため、その場合にはある程度お時間をいただいております。
- 職場に診断書を出さなければならないのですが、どうすれば良いですか?
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保険の書類と同様に、病院一階エントランスの「受付」でお申し込みをしてください。お急ぎであればその旨を受付職員または外来の担当医師にお伝えください。急ぎの場合は1、2日でお出しすることが可能です。
- 人工肛門をどうしても避けたいのですが。
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一般的に大腸がんの手術では、人工肛門を造らねばならないご病状の患者さんがおられます。直腸がんで、特に肛門にできてしまった進行がんの方では、人工肛門を避けることは容易ではありません。
当院では、なるべく人工肛門を避けるために、直腸がんの患者さんに対して「術前放射線化学療法」という治療を行っております。
これは、いきなり手術を行うのではなく、放射線と抗がん剤(=化学療法)をあわせた治療を行って腫瘍を小さくすることで、従来の治療では肛門が温存できなかった患者さんでも肛門を残し、人工肛門を避けることができるという治療戦略です。(医師は英語のChemo-Radiotherapyの頭文字をとってCRT シーアールティーと呼んでいます)
治療は、まず外科外来でCT検査、MRI検査、大腸内視鏡検査、採血検査などを行ったのちに放射線科医師の外来を受診していただき(当方で手配いたします)、その翌週くらいから開始します。
スケジュールは以下の通りです。- 放射線化学療法を約6週間
- 抗がん剤(ゼローダという飲み薬を月曜から金曜まで朝夕飲む)+放射線療法(毎日、だいたい1回15分程度。麻酔不要。受ける時間は調整可能です)を平日毎日行います。
この期間は、入院し続けても、通院でもどちらでも可能です。
- 約6週間空けます
- 放射線化学療法の後、一定期間を空けたほうが効果が出ることがわかっていますので、当院ではだいたい6週間ほど空けます。この間は何も治療はありませんし、通院の必要もありません。
- 検査を行います
- 一番最初に受けていただいたCT検査、MRI検査、大腸内視鏡検査、採血検査をもう一度受けていただきます。放射線化学療法がどの程度効いたかを判定するためです。
- 手術を行います
- 腹腔鏡による手術(腹腔鏡下低位前方切除術・時間は2〜4時間・全身麻酔)を行います。効き具合によっては、手術をせずに定期検診のみで様子を見ていくこともあります。手術を行う際には、放射線が当たっている部分の繋ぎ目がほころびる可能性が極めて高いため、一般的に「一時的人工肛門」を作ります。2〜3週間で退院です。
- 6ヶ月後、再度手術です
- ここで人工肛門をなくす手術(人工肛門閉鎖術・時間は約1時間・全身麻酔)を行います。1〜3週間で退院です。
- 3ヶ月ごとの外来通院です
- その後は、体調が不安定であれば毎月の通院です。ほとんどの場合は3ヶ月ごとにがんの再発がないか定期検診をしていきます。検査や予約などは当院ですべて手配します。
担当医師紹介
初めまして、大腸癌の手術を専門としている外科医の中山祐次郎と申します。当院で大腸癌の治療を受ける方は、原則として私が担当いたします。自己紹介をさせていただきます。
私、中山祐次郎は神奈川県横浜市生まれ、横浜の聖光中学・高校を卒業し、鹿児島大学医学部を卒業後、年間600人以上(当時)の手術を行なっていた東京都立駒込病院大腸外科で初期研修医からあわせて10年勤務し、その後福島県総合南東北病院外科で4年勤務したのちに2021年、湘南東部総合病院に参りました。
これまでに2000人以上の大腸癌患者様の診療を行って参りました。現在では手術の執刀や治療を行いつつ、日本全体の若手外科医の教育のために手術教科書を出版し、手術学習サイトに外科医向け解説動画を載せております。
「技術認定試験突破のためのラパS」(2023年メジカルビュー社)
若手外科医が目指す資格である「技術認定試験」に合格することを目的とした、腹腔鏡下大腸癌手術の手術教科書。ぼろぼろになるまで読み込んでくれる若手外科医が多数。
「ダヴィンチ導入 完全マニュアル」(2023年メジカルビュー社)
手術ロボットであるダヴィンチという機械について、2病院での導入経験のある中山の立場に加え、湘南東部総合病院の手術室看護師と臨床工学技士、医療事務員による執筆で新規導入病院のための教科書を作成しました。国内の多くの病院で購入され、導入に使用していただいています。
「一人で難なくこなすためのロボット支援下結腸手術」(2024年メジカルビュー社)
同じく手術ロボットであるダヴィンチを使った大腸癌(結腸癌)の手術を解説した教科書。若手のみならずベテラン外科医にも多く学びがある書籍です。詳しい動画解説もつけており、手術学習に変革を起こすことも狙いました。


外科医向け手術動画学習サイト「Upstream」(医師限定、一般の方は視聴不可)
Upstream社と提携し、教科書と連動した手術学習動画を複数公開しています。
専門医資格としまして、大腸癌手術の専門家であれば取得している以下のものを保持しております。外科専門医、消化器外科専門医、内視鏡外科技術認定資格(大腸)、ロボット支援手術執刀資格、ロボット手術学会認定医(国内B級)、ロボット支援下手術指導者資格(大腸プロクター)
また、研究者として、京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻(優秀賞を受賞)卒業、公衆衛生学修士号を取得(2021年)。福島県立医科大学大学院で医学博士号を取得(2023年)し、医学研究者としての顔も持っております。研究領域は大腸癌治療全般(大腸癌手術、腹腔鏡手術、低侵襲手術、化学療法)、鼠径ヘルニア手術、手術教育などです。国内外の学会で発表をし、論文も発表しています(詳細は下記)。
(手術執刀数・指導数)(2025年6月現在)
- 大腸癌ロボット手術 執刀97例、指導22例
- 大腸癌腹腔鏡手術 執刀約600例、指導約600例
- 大腸癌開腹手術 執刀約200例、指導約300例
- 鼠径ヘルニア手術 執刀約300例、指導約100例
- その他、虫垂炎や消化管穿孔、その他緊急手術など多数
(最近の研究・教育実績)
- 2025年4月 学会発表
日本外科学会学術集会 パネルディスカッション 9「結腸癌に対するロボット支援手術の現状と展望【Video】」
「結腸癌非典型例に対するロボット支援手術の有用性」 湘南東部総合病院外科 中山祐次郎 - 2024年12月 横浜市大医学部学園祭 講演
「医学を志す」 湘南東部総合病院外科 中山祐次郎 - 2024年4月 高校生向け講演
聖光学院高等学校一年生 講演 湘南東部総合病院外科 中山祐次郎 - 2024年4月 医師・医学生向け講義
新潟民医連「京アニ事件に学ぶ生命倫理」湘南東部総合病院外科 中山祐次郎 - 2024年2月 学会発表
第16回ロボット手術学会学術集会「中規模病院における安全なロボット支援手術導入法の書籍化による一般化の試み」湘南東部総合病院外科 中山祐次郎 - 2024年2月 医師向け講演
日本臨床外科学会 第12回 次世代の臨床外科医のための特別セミナー「外科医としての生存戦略」湘南東部総合病院外科 中山祐次郎 - 2024年1月 大学院講義
慶応義塾大学大学院講義 健康ビジネス開発論 - 2023年10月 帝京大学外科医師向け講演
「技術認定試験の勘所」 湘南東部総合病院外科 中山祐次郎 - 2023年8月 外科医師向け講演
神奈川県西部大腸癌セミナー 講演 湘南東部総合病院外科 中山祐次郎 - 2022年8月
かごしま南日本新聞政経懇談会 講演 - 2022年5月
東大和ロータリークラブ創立50周年記念講演 - 2022年11月
臨床外科学会 ランチョンセミナー
(以下省略)
(獲得した研究助成金)
- (1) ESMO (European Surgical and Medical Oncology: 欧州腫瘍学会) Asia Virtual Congress 2020 Free Registration (Oct 2020)
- (2) 文部科学省科学研究費(若手研究)「消化器癌罹患後の就労阻害因子の検討」(2020 – 2023)
(受賞)
- Yahoo!ニュース個人 月間MVA (Most Valuable Article)賞 計4回受賞
以下、日付と受賞記事タイトル
- ①2016年8月「なぜ医者は「飛行機の中にお医者さんはいませんか」に手を挙げないのか?」
- ②2017年7月「小林麻央さん逝去に がん専門医が思うこと」
- ③2018年6月「続く「CT見落とし」なぜ起きる? 医師の視点」
- ④2019年8月「京アニ放火事件の容疑者を治療するということ 葛藤と苦悩」
- 2020年度 京都大学大学院医学研究科 課題研究 優秀賞
対象研究 「大腸癌に対する腹腔鏡手術手技評価のための尺度開発と妥当性・信頼性の検証」 - STR医学会 研究奨励賞 銀賞
対象論文 The long-term outcomes in adolescent and young adult patients with colorectal cancer -A multicenter large-scale cohort study. J of Cancer 2020; 11(11): 3180-3185. PMID: 32231722
(英文論文)
筆頭著者:7編、共同著者;7編(すべて査読付き)
- (1) Pulmonary and pleural metastases from benign meningeal meningioma: a case report.
Yujiro Nakayama, Hirotoshi Horio, Shinichiro Horiguchi, Tai Hato.
Ann Thorac Cardiovasc Surg 2014;20(5):410-3概要:良性の髄膜腫が肺・胸膜に複数回遠隔転移を起こし、その都度切除術を行うことで長期生存を得ている極めて稀な一例を症例報告で報告しています。
- (2) Underexpression of miR-126 and miR-20b in hereditary and nonhereditary colorectal tumors.
Yamaguchi T, Iijima T, Wakaume R, Takahashi K, Matsumoto H, Nakano D, Nakayama Y, Mori T, Horiguchi S, Miyaki M.
Oncology 2014;87(1):58-66.概要:大腸癌におけるmiR-126とmiR-20bという2つのマイクロRNAの発現が大腸癌の発癌にどういう役割を持つかを検証しました。136例の大腸癌において、miR-126とmiR-20bの発現を解析したところ、様々な発癌形式の大腸癌においてすべてそれらの過小発現が示され、発癌の初期イベントであることが判明しました。
- (3) Microsatellite instability is inversely associated with type 2 diabetes mellitus in colorectal cancer.
Yujiro Nakayama, Takeru Iijima, Rika Wakaume, Keiichi Takahashi, Hiroshi Matsumoto, Daisuke Nakano, Michiko Miyaki, Tatsuro Yamaguchi.
PLoS ONE 14(4): e0215513概要:大腸癌は2型糖尿病との強い関連が以前より報告されていますが、大腸癌のサブタイプであるMSI-H大腸癌患者は2型糖尿病とほぼ無関係であることを報告した初めての論文です。癌発生の基礎研究に繋がる、臨床データからの領域横断的な研究です。
- (4) Clinical impact of periodontal disease on postoperative complications in gastrointestinal cancer patients.
Mao Nishikawa, Michitaka Honda, Ryosuke Kimura, Ayaka Kobayashi, Yuji Yamaguchi, Soshi Hori, Hiroshi Kobayashi, Mitsuru Waragai, Hidetaka Kawamura, Yujiro Nakayama, Yukitoshi Todate, Yoshinao Takano, Hisashi Yamaguchi, Koichi Hamada, Susumu Iketani, Ichiro Seto, Yuichi Izumi, Kanichi Seto.
Int J Clin Oncol 2019 24, 1558–1564概要:歯科医師との共同研究です。歯科医師・歯科衛生士が行う手術前の口腔ケアが、手術後の合併症を減らすことを報告した初めての論文です。執筆した歯科医師の研究デザイン作成・統計解析・論文執筆指導を行いました。
- (5) Usefulness of a multibending endoscope in gastric endoscopic submucosal dissection.
Koichi Hamada, Yoshinori Horikawa, Ryota Koyanagi, Yoshiki Shiwa, Kae Techigawara, Shinya Nishida, Yujiro Nakayama, Michitaka Honda.
VideoGIE 2019 19;4(12):577-583.概要:消化器内科医との共同研究です。多関節を持つ新しいタイプの内視鏡が胃の粘膜剥離術に有用であると報告したビデオ論文です。ビデオ作成と論文作成の指導を行いました。
- (6) Development of an assessment tool for laparoscopic colectomy: The protocol of the ASLAC study.
Yujiro Nakayama, Hidetaka Kawamura, Hiroshi Kobayashi, Yukitoshi Todate, Yoshinao Takano, R. Matsunaga, T. Miyakawa, M. Honda
Ann Canc Res Ther 2019.27 (1) 28-30概要:大腸癌の腹腔鏡手術を若手外科医に教育するための、手術の評価ツール(採点表のようなもの)を開発するための研究のプロトコール論文です。
- (7) The long-term outcomes in adolescent and young adult patients with colorectal cancer -A multicenter large-scale cohort study.
Yujiro Nakayama, Hiroshi Kobayashi, Hidetaka Kawamura, Rie Matsunaga, Yukitoshi Todate, Yoshinao Takano, Keiichi Takahashi, Shinichi Yamauchi, Kenichi Sugihara, Michitaka Honda. J of Cancer 2020; 11(11): 3180-3185. PMID: 32231722概要:「40歳以下の若年世代(AYA世代)の大腸癌患者の予後は、好発年齢の55-65歳より悪いのか?」という臨床疑問について、国内28施設のデータを用いて多施設で共同研究を行いました。結果、「AYA世代は好発年齢と比べ予後は悪くない」と結論づけました。AYA世代の大腸癌研究で、本研究より患者数の多いものは海外論文を含めて過去になく、臨床医や専門家のみならず一般の方へも情報を提供することができました。
- (8) Development of an assessment tool for laparoscopic sigmoidectomy using the Delphi method.
Yujiro Nakayama, Hidetaka Kawamura, Hiroshi Kobayashi, Yukitoshi Todate, Rie Matsunaga, Teppei Miyakawa, Michitaka Honda
Ann Canc Res Ther 2020 28(2) 137-142概要:(6)のプロトコール論文で示した研究を実施した結果の論文です。大腸癌に対する腹腔鏡下手術の評価尺度を開発し、新しい尺度を示しました。
- (9) Ramped versus sniffing position for tracheal intubation: A systematic review and meta-analysis.
Yohei Okada, Yujiro Nakayama, Katsuhiko Hashimoto, Kaoru Koike, Norio Watanabe.
Am J Emerg Med. 2021 Jun;44:250-256.概要:救急医との共同研究です。気管挿管のときの患者の体位について、首だけ挙げる体位と体全体を斜めにする体位のどちらが良いか?」について、救急医と共同でシステマティックレビュー研究を行いました。
- (10) Comparison of ethanol concentrations after drinking in patients who underwent total gastrectomy versus healthy controls.
Honda M, Hori S, Kobayashi H, Hamada K, Kawamura H, Nakayama Y, Todate Y, Miyakawa T, Takano Y, Sato A, Konno S.
ANZ J Surg. 2021 91(7-8):E474-E478.概要:胃がんに対する胃全摘術を受けた患者における飲酒の安全性を調べる研究を行いました。胃全摘術後の患者10名と、アルコール感受性遺伝子型を患者とマッチさせた健常者10名で、エタノール1単位の飲酒をさせその後の血中アルコール濃度を測定した。患者では血中アルコール濃度のピーク値が高く、リスクがあることが判明しました。
- (11) Benefit of intensive chemotherapy for elderly patients aged 80 years or older with metastatic colorectal cancer: a state-wide multicenter cohort study.
Yujiro Nakayama, Hidetaka Kawamura, Michitaka Honda, Yoshinao Takano, Koichi Takiguchi, Takahiro Kamiga, Shigeru Yamazaki, Atsushi Muto, Satoru Shiraso, Naoyuki Yamashita, Toshiyasu Iwao, Koji Kono, Shinichi Konno.
Int J Clin Oncol. 2021 26, 1248–1256概要:「80歳以上の超高齢者大腸癌患者に、強い抗癌剤(doublet)治療をすると予後は改善するか?」という疑問について、福島県内9病院の医師に協力してもらいデータ収集し多施設共同研究を実施しました。「若い人と同程度に予後は改善するので、高齢者でも強い抗癌剤を実施する選択肢はある」と結論づけました。
- (12) The effects of intensive oral care before surgery for gastric cancer patients.
Nishikawa M, Honda M, Kimura R, Kobayashi A, Yamaguchi Y, Hori S, Kobayashi H, Kawamura H, Nakayama Y, Todate Y, Takano Y, Yamaguchi H, Hamada K, Iketani S, Seto I, Izumi Y, Seto K.
Oral Dis. 2021 Oct;27(7):1847-1853.概要:(4)の研究に関連した研究で、胃切除術後の合併症予防のための術前口腔ケアの適切な期間と頻度を検討しました。集中口腔ケア群で有意に術後感染性合併症の発生割合が低く(オッズ比;0.217,0.051-0.927)、術前3週間以上前と術前1週間以内の2回の介入が必要であることが示唆されました。
- (13) Clinicopathological features of sporadic MSI colorectal cancer and Lynch syndrome: a single-center retrospective cohort study.
Yujiro Nakayama, Takeru Iijima, Takuhiko Inokuchi, Ekumi Kojika, Misato Takao, Akinari Takao, Koichi Koizumi, Shin-ichiro Horiguchi, Tsunekazu Hishima, Tatsuro Yamaguchi.
Int J Clin Oncol. 2021 Oct;26(10):1881-1889.概要:近年注目されている、遺伝性大腸癌のサブタイプであるMSI-H大腸癌とLynch症候群関連大腸癌患者の臨床的・病理学的背景を比較しました。大腸癌の1-5%を占める希少疾患について、既存報告より患者数を多くしその背景をより詳細に報告した論文です。本邦の「遺伝性大腸癌ガイドライン」の責任編集者との共同研究でした。
- (14) The additional diagnostic impact of positron emission tomography-computed tomography for lymph node metastasis from colorectal cancer: A prospective lymph node level analysis.
Todate Y, Honda M, Takada T, Saginoya T, Yamaguchi H, Hamada K, Nakayama Y, Kawamura H, Takano Y, Hashimoto K.
J Surg Oncol. 2021 Dec;124(7):1085-1090.概要:PET-CT検査が大腸癌のリンパ節転移の術前診断にどの程度有用かを検証した研究です。194名の大腸癌患者について検討を行い、PET-CTがリンパ節転移の有無を判断するのに有用であることを示しました。
- (15) Efficacy of Integrated Online Mindfulness and Self-compassion Training for Adults With Atopic Dermatitis: A Randomized Clinical Trial Sanae Kishimoto, Norio Watanabe, Yosuke Yamamoto, Takumi Imai, Rei Aida, Christopher Germer, Risa Tamagawa-Mineoka, Ryosuke Shimizu, Steven Hickman, Yujiro Nakayama, Takafumi Etoh, Ethan Sahker, Martha B Carnie, Toshi A Furukawa.
JAMA Dermatol. 2023 Jun 1;159(6):628-636.概要:成人アトピー性皮膚炎患者の低いQOLに対して、オンラインによるマインドフルネスとセルフコンパッションのトレーニングの介入の効果をランダム化比較試験で検証した研究です。結果、107人の患者を2群に分け、介入群で皮膚疾患特異的QOLおよび湿疹の重症度を含む他の患者報告アウトカムがより大きく改善しました。重症アトピー性皮膚炎患者である研究者の切実な思いを反映した研究となりました。中山の専門性とかけ離れていますが、参加者リクルートに難渋し行き詰まっていた本研究に対して、SNS募集などによるリクルートで必要症例数が一気に集まり研究が完遂しました。他、論文執筆でもお手伝いいたしました。