脳神経外科(脳卒中センター)
①脳血管障害
硬膜動静脈瘻
心臓から全身へ血液を送る血管は動脈、全身から心臓へ血液を送る血管は静脈で、通常は動脈と静脈は毛細血管を介してつながっています。しかし毛細血管を介さず、動脈が脳の硬膜に存在する静脈洞へ直接につながった病態が硬膜動静脈洞です。原因の詳細は分かっていません。動脈と静脈の圧格差により、動脈から静脈へ血液が逆流し、静脈の血流不全が生じて多様な症状を来たします。重症化すると脳卒中を生じ危険な病態です。
血液の逆流の程度で治療せずに経過観察する場合がありますが、治療手段は手術のみです。その方法は基本的にカテーテル手術が選択されますが、病態によっては外科手術を選択する場合があります。またカテーテル手術や開頭手術が困難な時は、放射線治療が行われます。カテーテル手術では、カテーテルを動脈と静脈洞がつながった場所まで誘導し、つながった部位を多様な医療材料で閉塞させます。その際には、正常な脳や神経を栄養している血管を閉塞させない技術と知識が必須で、非常に難しい手術です。
当院では高精細な脳血管撮影装置を用いて、経験豊富なスペシャリストである医師の技術指導の下で安全で確実な手術を施行しています。また放射線治療の際は、提携病院である茅ケ崎中央病院でサイバーナイフ治療を施行します。
![硬膜動静脈瘻[写真]](https://fg-sthp.jp/images/department/neurosurgery/fig_cerebrovascular04_07.webp)
動脈が静脈洞内へ逆流している(黄色点線)。カテーテル治療により静脈洞への逆流が消失している(中央)。カテーテルで充填したコイル(右)。