消化器内科(肝胆膵内科)
診療内容・特色
肝臓病全般、特にウイルス肝炎から慢性肝炎、肝硬変、肝がんまで診断治療を行います。とくにB型肝炎に対する核酸アナログ製剤の適応、C型肝炎に対する最新の抗ウイルス治療と近々インターフェロンフリー経口剤の導入、非代償性肝硬変の栄養療法と最新治療を行っています。
がんの早期発見について
がんの3つの特徴
発生する部位によってがんの種類が違います。
- 造血器から発生するがん
血液をつくる臓器である骨髄やリンパ節から発生するがんには白血病、悪性リンパ腫、骨髄腫などがあります。 - 上皮細胞から発生するがん(上皮性腫瘍)
様々な細胞のもととなる上皮細胞から発生するがんです。英語でcancer、ドイツ語でcarcinomaといいます。代表的なものに肺がん、乳がん、胃がん、大腸がん、子宮がん、卵巣がん、咽頭がんなどがあります。 - 非上皮性細胞から発生する肉腫
肉腫(sarcoma)は骨や筋肉などの上皮以外から発生するがんのことです。代表的な肉腫には骨肉腫、軟骨肉腫、横紋筋肉腫などがあります。
がんの治療には多くの検査が必要
がんを正確に診断するためには詳しい診察と検査が必要になります。がんの治療はその効果を最大限かつ体への負担を最小限にすることが必要なため、多くの検査が必要不可欠になります。がんの治療は技術の進歩や医療研究の成果とともに日々変化しています。現時点で得られている科学的な根拠に基づいたもっともよい治療のことを「標準治療」といいます。
標準治療は手術、薬物療法、放射線治療をそれぞれ単独、あるいはいくつかを組み合わせた方法で行われます。
最先端の治療は開発中の試験的な治療として、その効果や副作用を調べる「臨床試験(治験)」として評価されます。この結果が今までの標準治療よりも優れているということになると、その治療方法が新たな「標準治療」になります。
がん治療の早期発見・早期治療の大切さ
がんは発見や治療が遅れるとその治療は困難になり、病期(ステージ)が高くなればなるほど生存率は低下していきます。言い換えれば早く発見できればそれだけ予後が良い病気とも言えます。
内視鏡検査なら1回でわかる
内視鏡検査とは胃カメラ(または大腸カメラ)を口から(大腸カメラの場合肛門から)入れて、胃や大腸の内部を直接見て診察や必要なら処置を行います。静脈麻酔を使用して寝たままの検査も可能です。病変が疑われたらその場で組織を採取し、顕微鏡検査に出すことができます。今までバリウム検査で病変が疑われ、2次検査で胃カメラを別日で受けて頂くことが必要でしたが、内視鏡検査ですと1回で検査することが可能です。またご希望があれば胃がんの原因の1つであるピロリ菌の検査も同時にできます。
茅ヶ崎市では2017年から2年に1回内視鏡検査ができるようになりました。当院では4年間で1,659名が検査を受け、そのうち173名が生検(顕微鏡検査)を実施し、うち7名からがんが見つかりました。
卓越したスタッフによる内視鏡治療
内視鏡検査で病変が見つかった時、内視鏡を使って腫瘍を切除したり、処置したりすることができます。手術で体にメスを入れることなく、術後の回復も早いのが特徴です。
写真1は丸印のところが盛り上がっていて、これを生検検査に実施したところ胃がんだった症例です。また写真2は狭い領域でどこが変化しているかわかりにくい状態だったため、色素を使用し、病変を浮かび上がらせました。この盛り上がったところが胃がんとなります。この患者様は内視鏡的粘膜剥離術(ESD)でがんを切除いたしました。
内視鏡的粘膜剥離術(ESD)は内視鏡で病変周辺にマーキングを実施し、粘膜下層に液体を注入して病変部分を浮かせた上で、医療用のメスを入れて粘膜の表面だけをはぎ取り、止血する術式です。このESDを実施するには卓越した内視鏡技術がないとできないのですが、湘南東部総合病院の内視鏡室はきちんと指導を受けたスタッフが内視鏡治療に携わっていますので、安心して検査を受けてください。
内視鏡治療の適応基準
ただこの内視鏡治療はすべての方に行えるわけではありません。粘膜層、粘膜下層という病気が浅いところにある方が適応になります。固有筋層まで病気が進行してしまうと内視鏡では処置が難しいため、手術で取りましょうということになります。内視鏡検診で早く病変を見つけて、そのうえで内視鏡治療につなげることが、最も体に負担をかけずに治療ができる方法だと考えます。
がんは身近な病気ですが、早期発見・早期治療することで予後を良くすることができます。特に胃がんや大腸がんはその典型です。また、市や町の検診は病気を早く発見することができますので、ぜひ毎年お受けになっていただけたらと思います。
講演会出演
開催日 |
2023年7月8日(土) |
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場所 |
TKPガーデンシティPREMIAM 横浜ランドマークタワー |
講演医師 |
平野 克治、大川 伸一、市田 隆文 |
講演内容 |
神奈川県消化器病研究会「緩徐に肝不全が進行し移植待機しているNASH肝硬変の1例」 |
担当医師紹介
大川 伸一おおかわ しんいち | |
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湘南東部総合病院 院長 |
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資格 |
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医師コメント |
消化器内科医専門分野としては「肝胆膵悪性腫瘍の診断と治療」 膵臓がん、胆道がん、肝細胞がんの化学療法び開発に携わってました。膵臓がん治療では「肝動脈塞栓術」「ラジオ波穿刺」など、肝臓がん、膵臓がんの重粒子線療法を経験しております。難治がんが専門分野であったため、緩和治療も多く経験しました。種々の病に悩む患者様の支えになることモットーとして、地域医療に貢献したいと考えています。 |
平野 克治ひらの かつはる | |
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湘南東部総合病院 副院長 内科部長 肝臓病センター長 湘南医療大学 臨床研修センター臨床教授 |
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資格 |
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医師コメント | 専門は消化器全般の診断と治療ですが、特に、肝疾患については、ウイルス性肝炎の飲み薬、肝硬変のマネジメント、肝細胞がんの経皮的ラジオ波治療やカテーテル治療や分子標的治療薬の導入、維持を行っています。消化器疾患でお困りの際は気軽にご相談ください。 |